事業者の過半が「DX」の必要性を認識
(公財)不動産流通推進センターが22日に公表した「不動産流通業界におけるIT技術の利用状況、効果と課題に関する調査報告書(2022年度版)」によると、不動産事業者の過半がDXに対して必要性を認識していることが分かった。一方で、少人数企業になるほど、その意識は薄れていく傾向にあることも明らかになった。
同報告書は、不動産流通業界におけるIT技術の利用状況等を把握することを目的に実施したアンケートと、インタビュー調査の結果をまとめたもの。今回が初調査で、今後も継続して調査を行なっていく予定。調査は2022年7月、不動産業従事者を対象にインターネット調査を行ない、1,095件の回答を得た。さらに、同年8〜9月にかけて、8事業者に対してインタビュー調査を行なった。
DXに関する意識を聞いたところ、「必要」が30.7%、「やや必要」が25.0%と、過半が必要性を認識していることが分かった。「どちらでもない」は22.1%、「あまり必要ではない」11.2%、「必要ではない」11.0%だった。従業員数別に傾向を見ると、従業員30人以上の会社では、「必要」45.4%、「やや必要」27.5%と7割超が必要性を感じている一方、この傾向は従業員数が減るごとに「(やや)必要」という回答が減少。従業員数1〜4人の会社で「(やや)必要」とした回答は26.2%にとどまり、「(あまり)必要ではない」が半数近くになった。
業務種別ごとのシステム導入状況について、「導入している」と回答した割合が最も高かったのは「物件情報掲載・募集システム」52.7%となった。ついで、「顧客管理システム」が36.3%、「社内会議システム」が33.2%となった。「導入を検討しているシステム」という回答が最も多かったのは「電子契約・電子署名システム」で回答割合は35.6%となり、今後の導入率上昇が予測される結果になった。
IT重説や電子契約・電子署名システムを実際に使用した事業者に対して、そのメリットとデメリットを聞くと、メリットは「書類の印刷・送付・保管の手間が省ける」が55.9%、次いで「承諾を得れば、説明の様子を録画・録音できるのでトラブル防止になる」が25.0%だった。一方デメリットについては、「相手方がどこまで理解しているか対面に比べて把握しにくい」が34.5%、「バックアップのために結局電子書面を印刷・保管するので二度手間になる」が27.7%、「顧客が仕様する機器の性能が不十分な場合は中止しなければならないため、常に利用可能というわけではない」が24.1%となった。
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