ESG投資やアセット多様化で投資市場拡大へ
国土交通省は11日、「不動産投資市場政策懇談会」を開いた。今回で15回目、座長は牛島総合法律事務所弁護士の田村 幸太郎氏が務める。
冒頭、これまでの不動産投資市場関連の政策動向について、国土交通省が説明。2022年6月に閣議決定した「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」フォローアップにおいて目標とされている「30年頃までにリート等の総額約40兆円」に向けた政策として、23年3月のヘルスケアリートガイドラインの見直しや、不動産関連のセキュリティトークン規制の動きについて説明した。また、不動産分野におけるESG投資の促進に関しては、「『社会的インパクト不動産』の実践ガイダンス」策定や、「耐震・環境不動産形成促進事業」の見直しなどを紹介。このほか、不動産市場に関する情報提供の充実や、最新のデジタル活用の動きとして、「建築・都市のDX」や「不動産ID」をめぐる最新動向について説明した。
その後、不動産投資市場の現状や取り巻く課題について各種データ等を用いて説明。その上で、今後の検討テーマについて「都市の競争力向上」や「ESG投資の促進」「築古ビルの戦略的更新」「アセットの多様化」などを取り上げる方針を示した。
これに対して委員からは、「築古ビルの更新や都市の国際競争力強化のために、不動産投資市場は資金供給源となるので期待したいが、国民に分かりやすい都市像を示すかが見えづらい」「リート等の総額40兆円に向けては、現在の主にJREITと私募リートで構成する市場だけではなく、現在の制度の在り方等も抜本的に見直してもいいのでは」「ディベロッパーが新しいアセットの開発に取り組みやすくなれば、開発対象地が広がり、いろいろな知己に資金が流入することになる」「既存ビルの運用時の脱炭素政策が遅れているので、実績値に基づいた格付けをつくり、普及させていくことが重要」などといったコメントが挙がった。
国交省では、各委員からのコメントを材料にテーマ別に勉強会等を行ない、来春をめどに再度懇談会を招集してとりまとめを行なう計画。
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