「わかる・伝わる」ハザードマップのあり方で報告書
国土交通省は17日、「ハザードマップのユニバーサルデザインに関する検討会」(座長:田村圭子新潟大学危機管理本部危機管理室教授)の5回目となる会合を開催。報告書案について検討した。
同案では、「わかる・伝わる」ハザードマップのあり方として、利用者の理解につながるための情報の整理、抽出、変換等が必要で、利用者の特性に応じた複数の方法で提供し、さまざまな機会を通じて利活用(アクセシビリティ向上)を図ることが重要であるとした。当事者の視点で進めていくのと同時に、当事者の家族や支援者にもハザードマップの情報内容が「わかる・伝わる」ものとして提供されていることが不可欠であるという。
また、あらゆる主体のアクセシビリティを高めるために、水害時に適切な避難行動を判断し、行動するためのハザードマップのリスクを確認する「地図面」と水害やそのリスク、対応方法を知る「情報・学習編」の両面の充実等が重要であるとした。
委員からの所感は、内容について概ね賛成の意見だった。今後の課題として「『わかる・伝わる』ハザードマップの作成状況のフォローアップが必要」「ハザードマップをつくる地方自治体に対して国や都道府県のサポートがいるのでは」「今回は視覚や聴覚の障害のある人への配慮が中心だった。その他の障害のある人のほか、外国人等を見据えた検討も必要になる」「自治体によって差が生じないようにハザードマップ作成のベースになる、精度の高いオープンデータの整備が求められている」等の意見が挙がった。
今後は、今回出た意見を反映後、委員等の確認を経て2023年4月下旬をめどに最終版の報告書を公表する予定。その後、同報告書の内容を水害ハザードマップ作成の手引きにも反映していく。
なお、今回の会合では、これまでの検討会やワーキング会議を踏まえて、同省の「重ねるハザードマップ」サイトのユニバーサルデザイン化に向けた改良方針も示した。視覚障害者等でも、音声読み上げソフトを利用することで自宅等の災害リスクを知ることができるようにする。トップページでは、アイコンや地図上をクリックしなくても住所入力や現在地検索のみで、指定した地点の災害リスクが自動的に文章で表示される機能等を追加。地図画面では、浸水深の凡例の自動表示、災害時にとるべき行動や危険度のレベルに応じた文字背景の色分け表示等を実装する。 こちらについては23年夏〜秋頃(出水期)までの実装を目指す。
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