(一社)不動産クラウドファンディング協会は28日、丸の内トラストタワーで、設立記念イベントを開催した。
同協会は、不動産クラウドファンディング(CF)サービスを提供する企業を会員とし、不動産CF業界の信頼性と透明性の向上により、消費者(個人投資家)を保護し、業界のさらなる発展・拡大に寄与することを目的に8月30日に発足。代表理事には、不動産ファンドオンラインマーケットサービスを展開するクリアル(株)代表取締役社長の横田大造氏が就任した。発足時の会員は18社。
記念イベントでは、代表理事の横田氏が、不動産CF市場の現況や今後の課題、協会活動について解説した。不動産CF市場について横田氏は「不動産テックの潮流と、いわゆる老後2,000万円問題に始まる個人の資産形成機運の醸成で、市場はさらなる拡大が見込まれる。不動産のオンライン取引は始まったばかりで、ユーザーの投資経験はわずか2.6%。不動産CFは不動産投資の小口化とコモディティ化に貢献しており、ミドルリスク・ミドルリターンという商品特性も、“損をしたくない”という日本人に合っている」とした。 不動産CFサービスを手掛けるプレイヤーも70社に迫っているが、一方で今後参入企業が増える中「虚偽表示での資金募集」や「ずさんなプロジェクト管理」などで、元本償却が困難となる商品が発生しないとも限らないとし「業界規模が拡大する中で、客観的・中立的立場から業界全体を俯瞰する機関が必要」(横田氏)と協会設立の狙いを話し、「不動産CF業界の信頼性、透明性、認知度の向上に寄与する活動で、業界発展拡大に寄与していきたい」(同)と抱負を述べた。
今後は(1)業界ルール・ガイドラインの策定、(2)クラウドファンディングデータベースの構築、(3)業界レポートやホワイトペーパーなどの情報発信、といった活動を展開する。(1)は国土交通省の不動産CFに係るガイドラインの周知徹底、行政への要望に加え、将来的には何らかの自主規制も検討していく。(2)は不動産CFサービスの重要な情報を中立的な立場で、広く一般投資家に開示していくシステムを構築する方針。「国の不動産証券化調査にプラスアルファした情報を開示したい」(同氏)。(3)は、不動産CFサービス数、業界規模(調達額)、アセットタイプ分類、利回り推移といったマーケットレポートをまとめて配信するほか、海外のサービス事例や事業者同士の交流、不動産CFの認知度向上に向けた施策の検討会、税制検討会なども展開する。
横田氏は「サービス事業者の8割には会員となってもらいたい。また、ブロックチェーンを使った不動産STOのサービス事業者も入会の対象としたい」とし「協会会員であることがステータスとなるよう、協会をブランディングしていく」とした。
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