近年、老後資金や住宅ローンの返済、医療費などの資金が必要な方に認知度が高まってきているのが、「リースバック」です。耳にする機会は増えてきたものの、その仕組みやメリット・デメリットはまだ詳しく知られているとは言い切れないのが実情ではないでしょうか。そこで、今回は「リースバック」のしくみやメリットなどについてご紹介します。
リースバックの取引件数、急増中
国土交通省住宅局によると、2018年のリースバックの取引件数が前年対比で2倍以上増えています。高齢化社会が進む中、持ち家比率の高い世代が高齢になってきたことでよりニーズが拡大していると考えられます。と同時に、コロナ禍で給料やボーナスが減額したことによって、住宅ローンの支払いが厳しくなっている方も増えているようで、その解決策の一つとしてもリースバックの注目度が高まっているのです。
リースバックのしくみ
「リースバック」は別名「セール&リースバック」とも呼ばれ、自宅など所有している不動産を不動産会社などの第三者に売却し、その売却先と賃貸借契約を結ぶことで、借主としてそのまま同じ物件に住み続けることができる仕組みです。つまり、住宅の売買契約と賃貸借契約を組み合わせたサービス、というわけです。
賃貸借契約には、「普通借家契約」と「定期借家契約」の2種類あります。普通借家契約は一般的に2年更新で、希望すれば契約更新をしてそのまま住み続けることができます。正当な事由がない限り、貸主都合による一方的な契約解除はできないため、長く住み続けることが可能です。一方、定期借家契約は一般的には3年以内の任意の期間で設定されており、期間満了後も貸主と借主の双方の合意があれば契約更新は可能です。ただし、貸主の都合で再契約を断ることができるため、その場合は退去しなくてはなりません。契約前に「普通借家契約」なのか「定期借家契約」なのかをしっかり確認しておきましょう。
また、「買戻し特約」を付けることができれば、一度売却した家を買い戻すこともできます。買戻し特約を認めている事業者に限りますが、定められた期間内に契約で定めた金額を支払うことができれば、もとの住まいを買い戻すことができます。この際は、家賃を滞納することなく支払っているなどの条件もあります。買戻しの可能性がある場合は、特約の有無についても事前に確認しましょう。
リースバックのメリットとは?
リースバックにはたくさんのメリットがあります。
●一括でまとまった資金が得られる
不動産を売却することで、一括でまとまった資金を得ることができます。●売却後もそのまま住み続けられる
売却しても、そのまま住み続けることが可能な点は大きな魅力でしょう。引っ越しする必要がないので、ライフスタイルはこれまで通り。お子さんがいらっしゃる場合も、学区の変更による転校の心配がありません。同じ場所で今まで通りの暮らしを続けられるため、ご近所にも知られず売却することが可能です。●引っ越しや転居の費用が不要
引っ越しの必要がないため引っ越し費用がかからず、敷金・礼金など新しい家への入居に際する諸費用も必要ありません。家財もそのままなので処分費用もいりません。もちろん、これらにかかる手間や時間、手続きなどの負担もありません。●資金用途に制限がない
定年退職後の年金暮らしや老後の生活費が心配な方にとっての老後資金の確保のために利用する方が増えています。他にも、資金用途に制限がないことから、急な病気で医療費がかさんだ、事業をなんとかして継続したい、住宅ローンの返済が厳しい、元気なうちに旅行に行きたい、など、売却により手にしたお金は今を楽しむため、将来の安心のために自由に利用することができます。●スピーディーに現金化できる
ただ売却するだけなら、買い手が見つからないと現金化はできません。何か月、何年もかかる場合もあります。しかし、リースバックなら即現金化が可能。スピーディーにお金を手にできるので、急ぎの資金調達が必要な方も安心です。●資産の整理に
事前に売却しておくことで、子供たちが実家の処分に困ることがありません。そして、現金化することで、平等に財産を残すこともできます。そのため、資産整理のためにリースバックを利用する方もおられます。●固定資産税などの出費がなくなる
所有者ではなくなったことで、固定資産税や都市計画税などの納税義務や火災保険料などの支払いが不要になります。マンションの場合は管理費・修繕積立金の支払いもなくなります。これら、毎月、毎年かかる維持費の負担が軽減されます。●どんな不動産でも対象
もう一つの特徴として、リースバックはあらゆる種類の建物が対象となります。一戸建ての自宅はもちろん、マンション、オフィス、店舗でも利用できるのです。そのため、店舗兼住宅で営んでいた商売が傾き、借金を抱えてしまった場合も、リースバックを利用することで資金調達をして商売継続を叶えた方も少なくありません。リースバックのデメリットは?
メリットがいっぱいのリースバックですが、利用する際にはデメリットも知っておくことが大事です。
●家を相続できない
売却することで名義が変わり、その家は「資産」ではなくなります。家を子供に相続させたい方は家族でしっかり話し合うようにしましょう。●毎月の家賃が発生する
所有者ではなく借主になるため、毎月の家賃の支払いが発生します。●売却価格が一般相場より安くなることもある
リースバックを活用した場合、一般的な仲介に比べて売却価格が安くなる傾向があります。●売却金額がローンの残債を下回る場合は利用できない
リースバックの利用条件のハードルは決して高くはありませんが、売却代金が住宅ローンの残債を下回る場合は、住宅ローンを完済できず融資先の金融機関から抵当権を外す許可が下りません。そうなると売却することができないため、リースバックは利用できません。リースバックとリバースモーゲージの違いとは?
「リースバック」のほかに、「リバースモーゲージ」というものがあります。これらは、「自宅にそのまま住みながら資金を調達できる」という共通点はありますが、仕組みや特徴は全く別のものです。
リバースモーゲージは、「リバース=逆」「モーゲージ=抵当・抵当権」で、自宅を担保にお金を借り、契約者が亡くなった後に相続人が自宅を売却するなどして残債を一括返済する金融商品になります。各都道府県の社会福祉協議会や金融機関が取り扱っており、どこのリバースモーゲージを利用するかで借入金の使途や貸付限度額、対象となる物件が異なります。
賃貸契約のリースバックでは毎月家賃を払いますが、お金を借りるリバースモーゲージでは毎月利息分を支払うことになります。資金の使用用途もリースバックは自由ですが、リバースモーゲージは事業・投資資金としての使用は不可とされています。年齢、収入、物件の種類に制限がなかったリースバックに対し、リバースモーゲージは、年齢や収入に制限が設けられており、対象物件は限られており、主に一戸建てでマンションは不可の場合があります。また、リバースモーゲージは、所有権(名義)はそのまま維持できるかわりに、固定資産税などの納入義務を負う必要があります。
このようにリバースモーゲージは条件が厳しく、利用が難しいと言われてしまうケースもあります。そんな方でも、リースバックなら利用が可能なことが多いため、検討に値するといえるでしょう。
ただし、リースバックを利用する際には、複数の運営会社を比較することをおすすめします。運営会社によって売却価格や家賃、賃貸借契約の期間・種類、取引コスト(仲介手数料・事務手数料等)、買戻し条件(値段・期間等)などが異なるため、比較検討し、しっかり相談したうえで、希望条件に近く、信頼できる会社を選ぶことが大切です。
また、リースバックで自宅を売却した後は、所有権が運営会社に移るため、自宅は相続財産の対象外となります。相続発生後にトラブルになることを避けるためにも、契約する前に、自宅を売却することを相続人に伝えておきましょう。
リースバックは、急な資金繰りを助けてくれたり、将来の安心に備えられたり、今を楽しめたりと、とても有益なサービスです。しかし、そのまま住み続けられると言っても、大切な「わが家」は自分のものではなくなります。後悔やトラブルを避けるためにも、仕組みをしっかり理解し、条件をきっちり確認することを忘れないでくださいね。
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