21年度上期仲介実績、全20社が手数料増
(株)不動産流通研究所は19日、2021年度上期「主要不動産流通各社の仲介実績」の調査結果(本文下一覧表)を発表した。各社にアンケートを送付し、20社から回答を得た。
当期は調査した20社すべてが手数料収入を増やした。前年同期は、1回目の緊急事態宣言発出による店舗休業等の影響で、ほとんどの会社が大きく数字を落としていたことから、その反動と考えられる。ただ、20年6月以降は旺盛な住宅取得ニーズが下支えとなり、各社とも順調に回復。三井不動産リアルティグループや住友不動産販売(株)、東急リバブル(株)、野村不動産ソリューションズ(株)、三井住友トラスト不動産(株)など上位企業を中心に手数料収入をコロナ前の19年上期並みかそれ以上に回復している会社が多くを占めた。
トップの三井不動産リアルティは、取扱件数こそ19年上期には届かなかったものの、手数料収入と取扱高は過去最高を更新した。住友不動産販売は既存マンション取引を中心に取扱件数が増加。東急リバブルはリテールの好調ぶりに加えてホールセールでも順調に回復した。
各社からのコメントで目立つのは、リテールの買い需要の旺盛さ。近鉄不動産(株)は買い顧客の購買意欲が強く、売り物件が少なく価格が上昇傾向にあっても成約件数が増えたという。また、小田急不動産(株)も、「買い顧客の動きは都心・郊外とも好調を維持。媒介受託から成約に至る期間も短くなっている」とコメントしている。
一方、売り物件不足を指摘する声も多い。京王不動産(株)では、「購入顧客の意欲は旺盛だが、売却相談や媒介受託件数が増加せず、在庫不足が続いている」と懸念を示しており、さらに在庫の少なさが価格上昇を加速させ、「8月以降、買い手の予算が追い付かず高値警戒感が出ている」とした。
ホールセールに関しても、回復しているという声が多い。三菱地所リアルエステートサービスは「Jリートの資産入れ替えや事業法人によるセールス&リースバックでの売却など、大型物件の成約が市場回復をけん引している」とする。一方で、「市場全体では売却物件が少なく、マッチングが難しい」という懸念も示している。
◆主要不動産流通各社の2021年度上期仲介実績
※ 三井不動産リアルティの手数料収入は、売買仲介・賃貸仲介、賃貸管理収益などを含む仲介セグメントの収益。住友不動産販売の手数料収入には賃貸仲介含む。東急リバブルの手数料収入は賃貸仲介および賃貸関連収益を含む。三菱地所ハウスネットの手数料収入は賃貸仲介も含む。大和ハウス工業グループの取扱高は推計。東京建物不動産販売は21年12月期第2四半期、ほかは22年3月期第2四半期の数値※増減は前年比
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