社整審、住宅・建築物の省エネ対策で三次答申
社会資本整備審議会(会長:進藤孝生氏((一社)日本経済団体連合会顧問、日本製鉄(株)代表取締役会長))は1日、国土交通大臣に対し「今後の住宅・建築物の省エネルギー対策のあり方について」(第三次答申)および「今後の建築基準制度のあり方について」(第四次答申)の答申を行なった。
2020年10月に宣言された「2050年カーボンニュートラル」に向け、国のエネルギー消費量の約3割、木材需要の約4割を占める建築物分野においても、省エネルギーの徹底、吸収源対策としての木材利用拡大、既存建築ストックの長寿命化を図ることが必要とされることから、建築分科会、建築環境部会および建築基準制度部会(分科会長・部会長:深尾精一首都大学東京名誉教授)で審議。「脱炭素社会の実現に向けた、建築物の省エネ性能の一層の向上、CO2貯蔵に寄与する建築物における木材の利用促進及び既存建築ストックの長寿命化の総合的推進に向けて」とりまとめた。
答申では、建築物の省エネ性能の一層の向上に向け、25年度以降新築される住宅を含む原則すべての建築物への省エネ基準適合の義務付け、各種誘導基準についてZEH・ZEB基準への引き上げ、住宅性能表示制度における省エネ基準を上回る多段階の等級の設定などを提示。木材利用の促進に向けては、小規模木造建築物は、高さ16m以下の3階建ての構造計算の合理化とそれに合わせた建築士の業務区分見直しを、中大規模木造建築物では、延床面積3,000平方メートル超を含め現しでの木造化を可能とするなどの防火規定の合理化などを提案した。既存建築ストックの長寿命化については、既存不適格建築物に対する防火避難規定・集団規定の既存部分への遡及適用の合理化などを示した。
引き続き検討すべき課題等として、非住宅建築物における質の向上を誘導する政策のあり方、ハードによらない代替案による安全確保のあり方や、用途変更時の合理的な手続きのあり方などを掲示。最後にこれら報告を踏まえ、必要な制度見直し等を速やかに実施し、地方公共団体と連携を図りながら、建築行政に求められる役割を的確に果たすべきとした。
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