郊外大型マンション、超短期売却でも大きな差益
(株)東京カンテイは28日、2020年に竣工した新築マンションを21年に既存マンションとして売却した場合の価格上昇の傾向について分析したレポートを発表した。
同社データベースに登録されている三大都市圏のマンションのうち、21年の1年間に発生した既存マンションの売却事例について、20年に竣工したマンションの取引事例を抽出。既存物件の売出価格と新築時価格の平均坪単価を比較して価格変動率を集計して圏域ごとに平均価格変動率(1)を算出。さらに、取引されたマンションごとの価格変動率(2)を算出。(1)と(2)を比較し、圏域の変動率を100とした「相対価格変動率」を行政区ごとに集計し、各圏域の平均以上に価格が上昇しているかどうかを判断する指標とした。
首都圏では、相対価格変動率が110%以上となったのは千葉県習志野市と同印西市。この2市では、大型物件から高額な売り事例が発生したため。このほか、東京都三鷹市や日野市、横浜市磯子区、さいたま市浦和区、千葉市美浜区などが100%以上110%未満と圏域平均以上に値上がりしていた。大型物件や再開発プロジェクトなど、個別物件の影響が大きかった。
近畿圏では、大阪市城東区、大阪府守口市、同東大阪市の相対価格変動率が110%以上となった。このほか、100%以上110%未満の行政区は京都府城陽市や滋賀県大津市、同守山市などが該当するなど、首都圏と同様に比較的郊外でも投資目的の購入が発生していると考えられる。
中部圏では、投資目的の購入が多い名古屋市東区と中区で相対価格変動率が100%以上110%未満となった。また、これまでマンション立地としては注目度が高くなかった名古屋市港区や瑞穂区で110%以上となっている。
同社では「購入後1年で売却するキャピタルゲイン狙いの投資目的の購入は、これまで都心部が中心だった。しかし、都心部の新築価格の高騰によって短期で売却してもキャピタルゲインが稼げなくなっている背景もあり、投資家が郊外物件、特に大手ディベロッパーらが供給した再開発物件や大型物件に投資対象を広げている様子がうかがえる」と分析している。
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