国土交通省は1月31日、「『ひと』と『くらし』の未来研究会 Season3」の3回目の会合を開催。「不動産管理業の未来」として、空き家の適正管理や賃貸住宅管理におけるコミュニティデザイン等について議論した。
同研究会には、業界団体のほか、コアアドバイザーとして、(株)まめくらし・(株)nest代表取締役の青木 純氏、合同会社ミラマール代表社員の川人 ゆかり氏、プロジェクトデザイナー・(株)umari代表取締役の古田秘馬氏、(株)巻組代表取締役の渡邊享子氏、暇と梅爺(株)代表取締役・すみだ向島EXPO実行委員会委員長の後藤大輝氏が参加している。
事務局が業界団体向けに実施した空き家管理ビジネスのアンケートの結果を発表した。有効回答数は3,990社。過去に受託した者も含めると、全体の27%(1,083社)が空き家管理を実施。全体の9%(379社)が現在、空き家管理を受託しており、そのうちの66%(249社)、全体の6%が有償で行なっていることが分かった。 有償で行なっている場合、1件当たりの月額は5,000〜1万円未満が最も多い結果に(有償の場合の35%)。委託者の居住地(無償含む)は、車で概ね3時間以上(40%)が最多となった。
事例発表では、(株)L&F代表取締役社長の森 久純氏が、同社が宅建事業者等に向けて展開する空き家管理のサポートサービスについて説明した。サービス利用を希望する宅建事業者には、「空き家サポーター」のネットワークに加盟してもらい、研修等を通じて空き家管理に必要なノウハウ等を提供している。22年12月末時点の加盟社数は169社。同氏は「適切なサービスを提供することで、それに見合った管理料を受領することができる。また、管理サービス解約時の理由で最も多いのは売却だが、そのまま空き家サポーターである宅建事業者に依頼されるケースが9割にのぼる。宅建事業者にとって媒介契約の獲得にもつながっている」と話した。
神奈川県住宅供給公社賃貸事業部運営企画課の並木文栄氏は、同社が開発、運営する賃貸マンション「フロール元住吉」(川崎市中原区、総戸数153戸)で取り組んでいるコミュニティ形成の取り組みを発表した。同物件では、コミュニティマネジメントを専門会社である(株)HITOTOWAに委託。同物件の建築設計段階で依頼することで、交流の場となるシェアラウンジや地域交流スペースの設計に同社の意見を反映した。同社のスタッフが管理人兼コミュニティマネージャーとして、イベント等を通じた入居者交流の促進や地域交流スペースの運営を担っている。「地域交流スペースは、入居者から評価してもらっているほか、地域住民の利用も年々伸びている」(並木氏)。
参加団体やコアアドバイザーからは「空き家管理のガイドライン等があると事業者は取り組みやすい。また、空き家管理者の認定制度の発足等にも期待したい」「空き家を地域の資産としてどのように活用していくのか、出口戦略にそういった視点が含まれると、なおいいのではないか」「賃貸住宅におけるコミュニティデザインにおいてはソフト・ハードのバランスが重要」「コミュニティデザインが適正に評価される仕組みが必要」「コミュニティマネージャーがさまざまな仕事も兼ねることで、適正な手数料を受領することができるし、コミュニティの幅も広がる」等の意見が挙がった。
次回は2月20日に開催。2回目で議題となった多様なファイナンスの活用について、改めて議論する。その後、年度内をめどに提言のとりまとめを行なう予定。
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