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2023年02月21日

国交省、まちづくりのファイナンスの仕組み等を議論

 国土交通省は2月20日、「『ひと』と『くらし』の未来研究会 Season3」の4回目の会合を開催。2回目で議論した「多様なファイナンスの活用」をテーマに、まちづくりや建物管理の価値の数値化等について議論した。
 同研究会には、業界団体のほか、コアアドバイザーとして、(株)まめくらし・(株)nest代表取締役の青木 純氏、合同会社ミラマール代表社員の川人 ゆかり氏、プロジェクトデザイナー・(株)umari代表取締役の古田秘馬氏、(株)巻組代表取締役の渡邊享子氏、暇と梅爺(株)代表取締役・すみだ向島EXPO実行委員会委員長の後藤大輝氏が参加している。
 2回目の会合で発表のあった、​(公財)​京都市景観・まちづくりセンターが、京町家カルテ(「基礎情報」「文化情報」「建物情報」「間取図」を記載したもの)や京町家プロフィール(京町家の外観のみを調査して、伝統的外観意匠情報をまとめた資料)を活用した京町家専用ローンの取り組みについて、横展開が可能かどうか、 事務局が地域金融機関等からヒアリングを実施。その結果を発表した。「カルテがあることで、土地ではなく建物の価値に注目して融資を行なうことができる。地域の価値向上という意味で重要なものだと認識する」「地域貢献だけでなく融資が回収できるかも重要。その点で、保証会社の保証があることが必要不可欠と思われる」等の意見があったという。
 事例発表では、(株)エンジョイワークス代表取締役の福田和則氏が、現在制度設計を進めている「共感スコア」について発表。事業に関わるソーシャルキャピタルをスコアリングするもので、建物再生やまちづくり等の事業の検討構想から運営までの各フェーズにおいて、事業に関わる人の「共感」をさまざまなレイヤーで数値化する。例えば、参加という行動データに基づく共感スコアについては、各フェーズでの「投資」「イベント参加」「関連情報の閲覧」といった行動の数値を明らかにする。同スコアは、自治体や金融機関を巻き込み、事業の審査基準に活用することをイメージしている。同氏は、「ここまでの調査では、スコアが高いほど、事業として成功している傾向が高い」と話した。
 (一社)マンション管理業協会は、2022年4月スタートの「マンション管理適正評価制度」を発表。同制度の評価項目について、現在の「管理体制」「建築・設備」「管理組合収支」「耐震診断」「生活関連」に加え、コミュニティ形成の価値等を評価に組み込むことを検討しているとした。また、金融機関との連携で、マンション管理適正評価があることによるリセールバリューを向上し、流通が促進されるような市場形成も目指す。
 参加者からは「築年数の経過した建物再生の取り組みに、保証を付けることは難易度が高い。例えば、非営利の財団にオーナーが土地・建物を預けて、そこにまとまった不動産を担保にして保証を受けるなどの仕組みが必要になる」「個人が何か新たなプロジェクトに取り組もうとする際に、共感スコアの高い人が優遇を受けられるといい」「さまざまな評価制度がファイナンスの仕組みとしっかりつながることが重要だ」等の意見が挙がった。
 次回は3月頃に開催予定。Season3の最後の会合になる。提言のとりまとめを行なう予定。

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