国土利用計画、地域管理構想策定の推進へ
国土交通省は26日、新たな国土形成計画の策定に向け、国土審議会計画部会(部会長:増田?也日本郵政(株)取締役兼代表執行役社長)の9回目の会合を開催した。
同計画は、「ローカルの視点」(地域生活圏のイメージ等)、「グローバルの視点」(産業や大都市の国際的競争力、スーパー・メガリージョンの形成)、「共通の視点」(人材の確保・育成、インフラ、適正な国土利用等)のほか、「達成された社会の国土像」(デジタル田園都市国家構想、カーボンニュートラルの実現等)のそれぞれに分類してまとめていく方針。今回は、このうち適正な国土利用(国土利用計画)について検討した。
事務局が発表した案では、今後の方向性として、(1)DXを前提とした国土利用、(2)課題横断的な解決手法としての管理構想の推進、(3)地域社会全体の持続性を重視した国土利用、(4)地理的条件による災害リスクを踏まえた国土利用、(5)危機への備えを最優先とする国土利用を挙げた。
中でも(2)については、地理的条件による災害リスクも踏まえつつ、地域社会全体の持続性を重視した国土利用を実現するためには、地域ごとに、その地域の土地利用を俯瞰し、土地利用の転換を柔軟に行なうことも含めて、利用の最適化を図ることが求められている、とした。
これらの課題の解決に向けては、「地域の現状把握・将来予測を踏まえ、土地利用・管理と地域づくりを一体的に検討し、方向性を示す」市町村管理構想・地域管理構想の取り組みが横断的な解決手法として有効であると指摘。また、市町村・地域が防災の観点も踏まえて土地の利用・管理を検討する際は、都道府県が広域調整の観点から関与することが期待されるが、関与に当たって都道府県管理構想を活用することも考えられるとした。
さらに、DXの観点からも、管理構想の検討、策定、実践等のあらゆる局面においてデジタル技術の活用を促進することにより、土地の利用・管理の現状把握、全体調整、モニタリング等の要素を共通化することができ、土地利用の最適化に寄与。このため、中山間地域を重点的に全国津々浦々でまず地域管理構想を策定し、国土利用をめぐる諸課題の横断的な解決に向けた取り組みを実行に移していくことが肝要だとした。
(3)は、土地利用の効率性や周辺の持続的な土地利用等を確保しつつ、現況の土地利用区分に必ずしも囚われず土地利用の転換を柔軟に行なうべきであるとした。自然的土地利用への転換を中心に、集落移転や新たな産業集積も含めて、より積極的な方向性の打ち出しの必要性を示した。
委員からは「国土管理を徹底的に良くしないと日本の未来はないくらいの緊迫感のある内容が必要。適切な管理がなされていないと国土計画の策定は難しい」「さまざまなテーマがバランス良く実現するような方向性が必要」「人的資源が圧倒的に足りていない。その対策として、複数の市町村が連携して、管理構想を策定できるよう、10万人程度の地域生活圏の単位での策定を推奨してはどうか」「土地の適切な利用を進めていく上で、所有権構造の見直しをするいい機会だ」などの指摘がされた。
次回は、5月16日に開催。デジタル田園都市国家構想のほか、中間とりまとめ案の全体像についても検討をスタートする。3回の審議を経て、6月中に中間とりまとめを公表し、国土審議会へ報告する予定。
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