コロナ禍で社宅ニーズに変化/日管協・社宅協
(公財)日本賃貸住宅管理協会・社宅代行サービス事業者協議会は28日、「第34回 社宅サミット in TOKYO」をオンライン開催。188社・約400名が視聴した。
冒頭、同協議会会長の栗山直能氏が挨拶。「コロナ禍の2年で、従業員の住まい選びにおいて、これまでの職場との距離を重要視する傾向ではなく住環境が着目されるなど、企業の考え方が大きく変わってきたと実感する。書面の電子化が可能となったことから、業務効率化に向けたデジタル化の推進を課題としたい。引き続き、標準契約書の利用促進にも注力していく」などと話した。
同サミットでは、同協議会に加盟する社宅代行会社10社からのヒアリングを基に、繁忙期の法人動向について情報を提供した。1〜4月の新規契約件数は昨年の同時期と比べ約106.5%で、各社85〜111%の幅で推移していた。「テレワーク活用は継続しているが、出勤率の上昇および転勤控えに対する反動等が増加要因の一つ」と分析している。また、水際施策緩和により、外資系企業の海外からの異動受け入れが増加していることに触れ、首都圏中心部の狭小住宅より、郊外の広めの物件を求める企業が増加傾向にあることも紹介した。
業種別では、レジャー産業、飲食業、製造業、小売業、保育事業関連、外資系企業の社宅利用が増加。一方、ブライダル、宿泊関連、人材派遣業の利用は依然として減少傾向にあることが分かった。今後の見通しについては、「スタートアップ等の増加により、人材確保のための福利厚生として社宅需要は増加すると想定する。また、外資企業の活性化により、首都圏高額物件の需要の高まりにも期待したい」としている。標準契約書の利用については、各社平均20%前後の増加傾向で推移。現状112社が利用している。運用の過程において、利用企業からの要望を受け、7月上旬に一部内容改訂を実施する予定。
また、コロナ禍で発生したトラブルと対処法について、賃貸仲介・管理会社が事例を紹介。「“おうち時間”の増加により、2020年夏頃から騒音のクレームが増加している」ことに対しては、「全戸へのポスティングを実施。クレームのたらい回しによる二次クレームの防止を心掛け、電話を受けた者が親身になって対応した」といった事例が挙がった。ネット環境については、「自宅を勤務地にする」という働き方の変化により、「ハイスペックのWi-Fi高速通信環境を整備することで、テナントリテンションや入居促進につなげた」などの意見も聞かれた。
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