耐震・環境不動産形成促進事業、支援要件の見直しなど提示
国土交通省は8日、「耐震・環境不動産形成促進事業のあり方検討会」(座長:中川雅之日本大学経済学部教授) のとりまとめを公表した
同事業は、耐震・環境性能を有する良質な不動産の形成を促進し、地域再生等に資するまちづくりと地球温暖化対策の推進を目的として、2013年3月にRe-seed機構に基金を造成して創設。老朽・低未利用不動産について、国が民間投資の呼び水となるリスクマネーを供給することにより、民間の資金やノウハウを活用し事業を実施してきた。
昨今、「2050年カーボンニュートラル」など高い政府目標が掲げられ、不動産分野においても脱炭素化・温室効果ガス削減に向けた取り組みやESG投資の促進が求められているなど、同事業を取り巻く社会経済情勢が大きく変化。同事業では創設後10年以内に、実施状況、社会経済情勢の変化等を勘案して事業内容を検討することとされており、22年3月より、金融機関の不動産関連業務の担当者、大学教授、公認会計士などが委員として参加し、同事業のあり方について検討を行なってきた。
とりまとめでは、さらなる耐震・環境不動産の形成が求められる中、民間のみでは耐震・環境性能向上に係る工事の難度・コスト面等の課題から進みづらいことを踏まえ、民間投資の「呼び水」となるリスクマネーを供給する本事業を23年度以降も継続すること、支援要件の見直しと出資スキームの合理化等を併せて行なうことが必要とした。
支援要件の見直しについては、原則として本事業の環境要件の引き上げが必要となる一方で、事業者による同事業活用が困難とならないよう、「政策性」と「収益性」を両立する水準が求められるとした。具体的には、建て替え・開発についてはZEB・ZEH水準を見据えて段階的に引き上げ、建て替え・開発と改修、改修におけるアセットタイプ・地域等に応じた水準の差を設定することなどを挙げた。
また、専門家の知見を活用した効果的かつ効率的な事業実施体制を継続し、引き上げ後の環境要件を踏まえて、官民ファンド幹事会、機構理事会等での報告・検証の実施を提示。現行スキームの趣旨に留意しつつ新たなスキームの導入等を検討するなど合理化も必要とした。
普及促進に向けた取り組みとしては、「インパクト投資」としての発信、民間事業者との連携強化、案件形成を通じた地方における人材育成、ノウハウ・知見の共有を掲げている。
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