国交省、特定空家等の抑制に向けた対策案
国土交通省は22日、社会資本整備審議会住宅宅地分科会の「空き家対策小委員会」(委員長:中川雅之日本大学経済学部教授)の3回目の会合を開催。とりまとめの方向性(案)について検討した。
空き家対策に係る課題や問題意識として、現状の予測では居住目的のない空き家は470万戸程度(2030年)に増加する見込みであり、地方自治体のマンパワー不足等により、除却を中心とした対応や危険な特定空家等になってからの対応では限界があるとした。一方で、特定空家等となる前の段階での発生抑制、活用促進および適切な管理等を促進する取り組みが十分に行なわれていないことも課題として挙げられた。
それら課題を踏まえた今後の空き家対策の基本的方向性として、従来から行なってきた活用困難な空き家の除却等の取り組みを加速化・円滑化するとともに、「空き家はなるべく早い段階で活用すること」を基本に、所有者や活用希望者の判断を迅速化する取り組みを推進。特定空家等となる前の段階から、空き家の発生抑制、適切な管理や活用を促進し、地域経済の活性化につなげるべきであるとした。 その対策案として、空き家の「発生抑制」「活用促進」「適切な管理・除却」といった段階別で整理している。
「発生抑制」を図る取り組みとして、所有者の生前から、自分の死後もなるべく空き家にしないため、自宅の取り扱いについて検討し、それを家族に共有することの重要性について意識の啓発を図る必要性を示した。具体的には、「終活」の一環としての「空き家対策」の重要性や空き家のリスク等について、所有者等への意識の啓発や働きかけの促進、リバースモーゲージやハウスリースバックなどの住宅を資産として活用しつつ居住を継続する仕組みについて、住宅所有者への普及の促進などを挙げた。
「活用促進」に向けた取り組みとしては、所有者に「空き家は早期に活用する」との意識を醸成するとともに、所有者・活用希望者双方の早期の決断を促し、活用を支援する取り組みを促進すべきとした。 相続が空き家発生の最大の要因であることから、相続人の意思決定を促すため、市区町村から相続人に対する働きかけや地方自治体・NPO等の民間主体による相談対応、相続した空き家の早期譲渡を促すインセンティブの拡大等の取り組みの促進が重要であるとした。空き家となった住宅を早期に活用するため、所有者への働きかけ、活用需要の掘り起こしや所有者と活用希望者とのマッチング等を促進するとともに、活用の取り組みを促進する仕組みや支援を充実する必要性も示した。また、中心市街地活性化、観光振興、移住・定住促進、福祉の増進など地域の状況に応じた空き家活用に係る需要の掘り起こしも重要としている。
活用促進の具体策としては、市区町村が保有する空き家所有者情報のNPOを含む民間事業者等への提供を促進(外部提供ガイドラインの充実、周知)し、民間事業者等から空き家バンクへの登録など空き家の活用の働きかけ、地方自治体やNPO等を含む民間事業者による移住促進や観光振興、福祉対応など地域のニーズに即した需要の掘り起こしやマッチング等の促進、地域活性化に資する空き家活用の取り組みへの支援、低未利用地(土地上の空き家を含む)の長期譲渡所得の特別控除制度の延長・拡充による低未利用地の活用を促すインセンティブの拡大、地域の共感・資金を得て空き家を活用する小規模不動産特定共同事業等の活用促進などを挙げた。
「適切な管理・除却」の促進に向けた取り組みとしては、空き家の適切な管理が所有者の責任であるとの意識を醸成するとともに、所有者が適切に管理を行ない、または除却を行なえるような環境を整備すべきとした。市区町村が特定空家等の所有者への措置を更に円滑に行なえるようにして除却等を促進するとともに、特定空家となる前に所有者に適切な管理を促す必要がある。また、固定資産税の住宅用地特例の解除といった、市区町村が特定空家等となる前の段階で所有者に適切な管理を促すことができる仕組みの検討の必要性についても示した。
また、空き家の発生抑制、早期の活用、適切な管理や除却を促進するため、NPO等の民間主体による所有者へのきめ細かな対応や、市区町村の取り組みに対するサポート、地域コミュニティを巻き込んだ空き家対策の促進が重要であるとした。
委員からは「一般的にはエンディングノートに家の項目がない。家が追加されれば、発生抑制の取り組みとリンクするのでは」「空き家管理の理想像を示してもいいのではないか。実践する事業者等への支援についても打ち出してほしい」「空き家対策に取り組む不動産会社が増えているが、そういった事例を共有するほか、取り組む人を増やしていく対策について記述があってもいい」「空き家対策は、地方自治体、NPO、民間事業者等が連携して実現するもの。そこを前面に打ち出した方がいい」「空き家対策全般を打ち出すよりも、目的と対策をある程度絞った方が分かりやすいではないか」といった指摘があった。
今後は、委員からの意見等を反映した案で、パブリックコメントを実施。次回は、2023年1月31日に開催し、とりまとめ案を検討する。
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