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2023年03月21日

相談体制の構築で、高齢入居者のフレイル状態改善

 旭化成ホームズ(株)シニア事業推進部およびシニアライフ研究所は、運営するシニア向け賃貸住宅「へーベルVillage(ヴィレッジ)」の入居者を対象に、2022年4月より同シリーズで導入を開始したサービス「安心・安全・健康長寿応援メソッド」の効果等の調査を実施。その結果を20日に発表した。
 「安心・安全・健康長寿応援メソッド」は、介護スタッフなどが常駐せず食堂を不要とした事業形態で、設計(安全な暮らしと活動・交流を促す住環境) × 生活相談員(定期的に入居者を見守り、「イキイキとした暮らし」を後押しする人) × しかけ(設備による見守りと交流のきっかけ)の3つで入居者の暮らしをサポート。活動量・食事・交流の行動を増やし、健康長寿を実現することを目指す。相談員は「へーベルVillage」スタート当初から置いていたが、メソッド導入を機に機能を見直し、ケア視点だけでなく健康長寿視点を加えた面談で、入居者のできることに目を向けた健康行動を維持・増加する応援を行なっている。相談員は「へーベルVillage」136棟・1,746戸に対し100人弱を用意。全入居者を対象に、月1回ペースで30分〜1時間の面談を実施している。
 今回、メソッド導入開始当初と半年経過後での入居者の実態を調査。同メソッドの「相談員の声掛け行動等」が、健康寿命延伸にどのように作用しているのかなどを検証した。調査・分析対象は、「へーベルVillage」15棟の入居者112人(女性7割・男性3割、平均年齢83.8歳、単身者6割・夫婦4割)。調査期間は22年8月〜23年1月。
 入居者のうち97%が、運動・食事・交流のいずれかが「行動あり」と回答した。入居者の健康行動の変化をみると、活動量と交流で「行動維持」が多く、食事で「向上」が目立った。「調理頻度が増え、食生活が充実した」と回答した人うち「1日2回以上調理」と答えた人が、メソッド導入初期で50.5%、半年後で65.0%と、14.5ポイント増加した。健康度においては、「フレイル状態である」との回答数が、25.3%(導入初期)から20.5%(半年後)と、4.8ポイント減少している。
 同研究所は、同メソッドの適用により、自律的な健康行動を増やす流れが生まれ、次の新しい流れにつながり、ポジティブな連鎖が続くと分析した。
 同日開催したフォーラムで同メソッドの開発に携わった東京都健康長寿医療センター研究所介護予防研究テーマ・高齢者健康増進事業支援室研究部長・大渕修一氏は「健康寿命等に対して無関心な人に関心を持ってもらうことは、ハードルが非常に高い。ただし、人は誰しも他者からの期待に応えたいと思うもの。相談員の入居者に対する応援はそれに応えようとする意欲を誘発し、健康行動の増加につながる」と話した。

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