国交省、省エネ未評価技術評価の円滑化へ
国土交通省は25日、第28回社会資本整備審議会 建築分科会 建築環境部会 建築物エネルギー消費性能基準等小委員会(委員長:田辺新一早稲田大学創造理工学部建築学科教授)を開催した。
2022年5月にエネルギーの使用の合理化等に関する法律(省エネ法)が改正され、建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律(建築物省エネ法)で引用している「エネルギー」の定義が見直されることとなった。また、同年6月に建築物省エネ法が改正。25年度以降に新築されるすべての住宅・建築物の省エネ基準への適合が原則義務付けられることが決まった。 また、今後の住宅・建築物の省エネルギー対策のあり方(第三次答申)と建築基準制度のあり方(第四次答申)では、30年度以降の新築建築物のZEH・ZEB水準の省エネ性能の確保に向けて、省エネ基準を段階的に引き上げていくこととされており、現在評価されていない省エネ技術の評価方法を整備する必要がある。
今回の会合では、住宅・非住宅建築物の省エネルギー性能に係る基準等における(1)省エネ法改正に伴う対応、(2)省エネ未評価技術の評価の円滑化について、事務局が用意した案をもとに議論した。
(1)では、建築物省エネ法における電気の一次エネルギー換算係数等の取り扱いについて、省エネ法と整合的に対応するとした。しかし、換算係数の見直しにより規制値自体に影響が生じることから、25年4月に控えた省エネ基準への適合の全面義務化では、中小事業者の混乱防止等を理由に現行の換算係数を採用する。
(2)については、大臣認定制度の認定プロセスの改善を図るとした。未評価技術を評価することを前提とした仕組みである大臣認定制度は、必要なプロセスが多いこと等を理由にこれまで活用が進んでいなかったことから、関係機関等と調整の上、できる限り早期に運用開始する方針。
また、省エネ基準の適合義務化およびその水準の引き上げが先行している非住宅建築物のZEB化の取り組みに関する未評価技術については、(公社)空気調和・衛生工学会が公表している未評価技術15項目(CO2濃度による外気量制御、自然換気システム等)を当面の検討素材として議論を進める。性能評価において守られるべき評価の枠組み(室使用条件、気象条件、基準値、省エネ制御の閾値等の評価の想定条件)について整理し、あらかじめ業務方法書のひな形、ガイドライン等を提示する。住宅については、住宅におけるニーズ、非住宅建築物における大臣認定制度等の活用状況、25年の省エネ基準の適合義務化や30年度までの省エネ基準の水準引き上げの状況を踏まえつつ判断する。
さらに、大臣認定制度へのニーズ拡大を見据え、同制度における「性能評価書」を建築物エネルギー消費性能表示制度の第三者認証(BELS等)が活用できるようにすることで、性能評価の機会拡大を図る。これにより、未評価技術の評価結果の蓄積等を踏まえて、通常の評価方法への反映・整備も進めていく。
委員やオブザーバーから、(1)(2)ともに、おおむね賛成を得られたことから、国交省は今後の施策に同案の内容を反映していく。なお、今後の課題として、(1)については「換算係数の見直しの早期着手やスケジュールの開示」等の、(2)については「運用時の評価の仕組み構築」等の意見が挙がった。
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