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2022年03月24日

災害対策として「機能補完・機能分散型国土構造」を提示

 国土交通省は23日、新たな国土形成計画の策定に向け、国土審議会計画部会(部会長:増田?也日本郵政(株)取締役兼代表執行役社長)の7回目の会合を開催した。
 同計画は、「ローカルの視点」(地域生活圏のイメージ等)、「グローバルの視点」(産業や大都市の国際的競争力等)、「共通の視点」(交通ネットワーク、防災・減災・国土強靱化等)のほか、「達成された社会の国土像」(デジタルによる補完・補強、カーボンニュートラルの実現等)に分類してまとめていく方針。今回は、このうち防災・減災、国土強靱化について検討した。
 事務局は、中長期的な視点から南海トラフ巨大地震や首都直下地震については、被害想定を公表し、初動の応急対策について具体計画を策定しているが、復旧、復興フェーズついては、十分な対策検討が行なわれておらず、具体化が進んでいないことを課題として挙げた。それを踏まえ、特定のエリアが甚大な被害を被っても、国内の他のエリアがカバーする、いわば「機能補完・機能分散型国土構造(仮称)」へ転換すべきとした。同国土構造は、対流促進型国土、多軸型国土、多極分散型国土というこれまでの国土計画の方向性や、これまで検討してきたカーボンニュートラル、地域生活圏などの政策とも整合する。
 今後は、激甚化する風水害や切迫する大規模地震等への対策として、事前防災から復旧・復興までの各段階で、ハード対策とソフト対策の両面から自然災害による人命・財産の被害の防止・最小化を図ること、自然災害発生時の交通ネットワーク・ライフラインの維持、国民経済・生活を支えるための対策に取り組むことが、主要課題であるとした。 課題をクリアするための方向性として、施設の整備等による防災・減災対策、迅速で分かりやすい災害情報等の提供、避難者・帰宅困難者対策、災害時の事業継続機能の確保、広域連携体制の整備、災害対応体制の強化、流域治水の推進などを、関係者が一体となって総合的に取り組む必要性を提示。ネットワークの維持・復旧、ライフラインの維持・復旧、中枢機能のバックアップ等、交通・物流等の機能確保のための対策も進めるべきとした。
 予防保全型インフラメンテナンスへの転換に向けた老朽化対策として、将来もインフラの機能を十分に発揮していくため、インフラの維持管理・更新にかかるコストを可能な限り抑制し、メンテナンスの生産性向上や担い手の確保を図りながら、機能を持続的に保つ必要がある。デジタル技術も活用しながら予防保全型のインフラメンテナンスへの転換を図り、可能な限りコストを抑制しつつ、効率的にインフラを管理する。行政の縦割りを排除し、地方公共団体や民間企業、地域住民等と連携・協働したインフラメンテナンス体制を確保すべきとした。
 そのほか留意点として、南海トラフ巨大地震等の大規模災害は、想定を超える可能性があることへの認識を常に持つことの重要性を挙げた。インフラのメンテナンスについても、対応方針の取り組みによっても人口減少や予算制約等の状況から難しくなることも考えられ、デジタルの進展等を見据えて対応を検討していくことが必要としている。
 これらを踏まえ、国土形成計画の策定までに防災・減災、国土強靱化に関する目標について検討するとした。
 委員からは「国土強靱化基本計画がすでにある中、国土形成計画では、空間的な視点や中長期的な視点が必要では」「東京のような一極集中はリスクが高い。アフターコロナにおいてもテレワーク等を進めることが防災・減災につながる」「さまざまな企業に対して防災や減災に活用できるリソースやリソースを活用するに当たっての法的な障壁について調査を行なうと効果的な策が見えてくるのでは」「企業におけるBCPが機能するように働きかけるべき」「デジタル技術を用いた対策を進める場合、電力が確保できない場合の方法についても言及がほしい」などの意見が挙がった。
 次回は、4月4日に開催。大都市リノベーション産業、国際競争力強化等について検討する。

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